インターネットを使うためには、「回線事業者」と「プロバイダ」の両方と契約する必要があります。回線事業者は何となくイメージできる人も多いですが、プロバイダの方になると理解していない人も多いです。
そのため、プロバイダ選びが適当になって損してしまうことも多くあります。この記事をしっかりと読んでプロバイダとは何なのか、お得なプロバイダ選びのコツなどを覚えていきましょう。
プロバイダとは
プロバイダとは、「インターネットサービスプロバイダ(Internet Service Provider)」のことで、縮めてISPと表記されることもあります。
インターネット回線事業者が提供している回線を使って、契約者がインターネットへ接続できるようにしてくれるサービスが主な業務です。つまり、回線事業者とプロバイダ両方と契約しない限り、インターネットを使うことはできません。
参考ページ:光コラボとは?
プロバイダが行う主なサービス
- インターネット回線を通して行うデータ伝送の中継
- 契約者のデバイス(パソコンやスマホなど)にIPアドレスを割り当てる
- 個別メールアドレスの発行
- コンピュータウイルスや情報漏洩を防ぐセキュリティ管理
- Wi-Fiルーターの無料レンタル
- カスタマーサポート
- プロバイダ独自で実施しているキャンペーンなど
この中でも最も重要なのが「IPアドレスを発行する」という点です。インターネットに接続したデバイスやサーバーには、必ずIPアドレスと呼ばれる識別番号が発行されます。
それをプロバイダ側が管理し、そのIPアドレスを認識してインターネットと接続できるようになるのです。つまり、IPアドレスが割り当てられていないデバイスなどではインターネットを利用できないということになります。
その他に重要な点と言えば、やはりプロバイダで行っている新規入会のキャッシュバックキャンペーンです。金額はプロバイダによって異なり、70,000円を超えるキャッシュバックを行っていることもあるのです。
プロバイダを選ぶ際には、このようなキャンペーン内容やWi-Fiルーターの無料レンタルがあるかなどを確認してみましょう。
回線事業者はネット回線を提供している会社のこと
プロバイダと混同されやすいのが、「回線事業者」です。回線事業者とは、NTTのフレッツ光やauひかり、ソフトバンク光のようにインターネットの回線を全国に配置している業者です。
しかし、提供しているのはあくまで回線のみで、インターネットを使えるようにするために前述したプロバイダと契約する必要があるのです。回線事業者によってプロバイダを自分で選べるところと、プロバイダが選べないところがあります。
事業者に関しては「光回線とは?自宅でインターネットを使うまでの流れや費用を優しく解説」で詳しく解説していますので、そちらも参考にしてみてください。
プロバイダ毎に何が違うのか
ここからは、プロバイダによってどのような点が変わってくるのか解説していきます。
- 対応している回線事業者が違う
- 実質の月額料金が違う
- 通信速度が違う
- メールアドレスのドメインが違う
- サポート窓口やクオリティが違う
- キャンペーン内容が違う
①:対応している回線事業者が違う
プロバイダは、すべての回線事業者に対応しているわけではありません。例えば「GMOとくとくBB」というプロバイダは、auひかりやドコモ光には対応していますが、ソフトバンク光には対応していません。
一方で「Yahoo!BB」というプロバイダはソフトバンク光には対応していますが、auひかりやドコモ光には対応していません。つまり、GMOとくとくBBを使いたいけどソフトバンク光と契約したら使えないということになります。
②:実質の月額料金が違う
プロバイダによって月額利用料金が違う場合があります。例えば、ドコモ光はプロバイダによって「タイプA」と「タイプB」に分かれており、それぞれ回線速度などは変わらないものの月額利用料金が変わってきます。
プロバイダ毎に変わらない回線事業者もありますが、実質月額料金になると大きく差が出てくるのです。実質月額料金に影響を与えるのが、以下のようなものです。
- 各プロバイダが実施しているキャンペーン内容
- 工事費負担の有無
- オプションやレンタル機器の料金
- 各種手数料
とくに大きく影響してくるのは「各プロバイダが実施しているキャンペーン内容」です。これに関しては、後で詳しく解説していきます。これらを総合的に考えてお得なプロバイダと契約していきたいところです。
③:【重要】通信速度が違う
同じフレッツ光を契約しても、プロバイダによって回線速度は大きく異なります。プロバイダA社が500Mbps、B社が580Mbps、C社は280Mbpsのように、速度に差が出るのは、プロバイダが設置している管理装置の性能に差があることだと言われています。
性能が低い管理装置では、夕方以降の混雑時に通信速度が下がりやすい傾向があり、オンラインゲームであればラグの発生、動画配信サービスであれば読み込みが止まるなどの影響が出ます。もちろん性能が高ければ時間帯関係なく安定した通信が可能です。
しかし、管理装置の良し悪しは契約者には分かりませんので、「口コミの情報を確認する」、「知名度が低いプロバイダとは契約しない」という選び方をすると失敗しないでしょう。
④:メールアドレスのドメインが違う
プロバイダと契約してインターネットが使えるようになると、プロバイダからメールアドレスが付与されます。プロバイダから付与されたメールアドレスは、それぞれドメインが異なっています。
ドメインとは、「@〇〇〇〇〇」の部分のことです。スマホなどでもauとドコモとソフトバンクでは@の後のアドレスが違うと思います。それと同じようなイメージを持ってくれれば問題ありません。
⑤:サポート窓口やクオリティが違う
もしインターネット関連でトラブルが発生した場合、回線事業者よりもプロバイダに問い合わすことが多くなります。プロバイダが違えば、当然ですがサポート窓口も変わってきます。
とくに営業時間はプロバイダによってバラバラで、土日祝日は対応していないプロバイダもあるくらいです。とっさに問い合わせができないのはデメリットと言えますので、その点を契約前に確認しておくと良いでしょう。
仮に営業時間内だったとしても繋がるまでに時間がかかるプロバイダもあります。早いところだと3分前後で繋がりますが、混雑時には1時間近く待っても繋がらないこともあるのです。そういった点も口コミなどで確認しておくことをおすすめします。
そして、対応時のクオリティにも差があると言われています。これは人によって変わるため確実に避ける方法はありませんが、口コミなどで対応の悪い人が多いプロバイダを確認するのがおすすめです。
⑥:【重要】キャンペーン内容が違う
プロバイダ選びで最も重要な点の一つに、「提供しているキャンペーン内容」というものがあります。これはプロバイダ毎に大きく異なっており、以下のようなキャンペーン内容を実施していることがあります。
- キャッシュバックキャンペーン(現金・Amazonカードなど)
- ポイントキャンペーン(dポイントなど)
- 月額料金割引キャンペーン
- ゲーム機+ソフトプレゼントキャンペーン
- 高性能Wi-Fiルーター無料キャンペーンEtc…
キャッシュバックキャンペーン一つとっても内容に大きな違いがあり、50,000円以上の高額キャッシュバックを行っているプロバイダもあれば、5,000円ほどしかキャッシュバックされないプロバイダもあるのです。
高額キャッシュバックの場合は何かしらの適用条件が付けられることもありますが、それでもキャッシュバック額が高い方が結果的にお得になることが多いです。このキャッシュバック額が③の実質月額料金に繋がってきます。
基本的には月額料金割引キャンペーンよりもキャッシュバックキャンペーンの方がお得ということも覚えておきましょう。因みに、各回線事業者が提供している工事費無料などの公式キャンペーンはどのプロバイダでも共通して適用させることができます。
そのため、公式キャンペーンを受け取りつつお得なプロバイダ独自キャンペーンを受け取ることが重要になるのです。GMOとくとくBBはコンスタントに高額キャッシュバックを行っているためおすすめです。
プロバイダの正しい選び方や注意点
では、どのようにしてプロバイダを選んでいくのか解説していきます。もしもまだ回線事業者が決まっていない場合は、「光回線のおすすめランキング!光回線27社を徹底比較!」を参考に選んでみてください。おすすめのプロバイダも合わせて紹介しています。
①:大手の企業が運営しているか
プロバイダは日本に数百社存在しますが、聞いたことがない運営会社のプロバイダは、選ばないようにしてください。人気のあるプロバイダは皆さんも聞いたことがあるような大手ばかりです。
聞いたことがない中小企業のプロバイダを選ぶと何が危ないのかというと、倒産してサービスが途中で終了したり、個人情報の漏洩トラブルがあったり、通信の不具合があったり…いろんなリスクがあるからです。
料金の安さで魅力的に見えたとしても、大手の中から選んでください。人気のある大手企業のプロバイダをいくつかご紹介しておきますね。
プロバイダ名 | 運営会社 |
---|---|
GMOとくとくBB | GMOインターネットグループ |
OCN | NTTコミュニケーションズ |
BIGLOBE | ビッグローブ |
So-net | ソニーネットワークコミュニケーションズ |
ぷらら | NTTぷらら |
@nifty | ニフティ |
楽天コミュニケーションズ | 楽天 |
DTI | DTI |
Yahoo!BB | ソフトバンク |
②:通信速度が安定しているか
回線事業者によってインターネット速度が異なりますが、プロバイダでも回線速度の速い・遅いは変わります。
例えば、auひかりでは自分でプロバイダを選べますが、同じ回線を使っているのにプロバイダによって大きな差が出ます。通信速度は「みんなのネット回線速度」というサイトで確認することが可能です。では、少し例を見てみましょう。
auひかりのプロバイダ別実測値の平均(2025年2月時点)
プロバイダ | 通信速度(平均) |
---|---|
GMOとくとくBB | 下り速度: 842.02Mbps 上り速度: 853.29Mbps |
BIGLOBE | 下り速度: 619.02Mbps 上り速度: 546.3Mbps |
So-net | 下り速度:669.71Mbps 上り速度: 632.21Mbps |
Au one net | 下り速度: 616.88Mbps 上り速度: 567.25Mbps |
@nifty | 下り速度: 659.9Mbps 上り速度: 594.02Mbps |
DTI | 下り速度: 549.69Mbps 上り速度: 597.35Mbps |
このように、同じauひかりの回線を使っているのにプロバイダによって通信速度が違うのです。GMOとくとくBBだと下り速度が、驚異の800Mbps超えです
どのプロバイダであっても、とても優秀な速度ですが、大容量データのダウンロードや高画質の動画視聴、オンラインゲームの快適プレイなどを考えたらこの差は大きいです。そのため、回線事業者を決めたらプロバイダ毎の平均実測値を調べてみると良いでしょう。
③:IPv6方式に対応しているか
上記の通信速度の話にも繋がるのですが、現在の光回線には「IPv4方式」と「IPv6方式」の通信方式があります。IPv4方式は混雑に弱く、夕方以降の時間帯になると通信速度が落ちてしまうことがあります。
とくに独立回線を利用しないNTT回線のソフトバンク光やドコモ光などは影響を受けやすいです。そこでおすすめなのが、混雑する時間帯でも接続しやすいルートを自動検出して安定した通信ができるIPv6方式なのです。
これは回線事業者の方ではなく、契約したプロバイダに連絡して切り替える必要があります。最近ではほとんどのプロバイダでIPv6方式に対応していますが、契約する前に対応しているか確認することが重要です。
契約した時点ではIPv4方式のままの場合もありますので、分からないことがあれば質問してみましょう。たとえ切り替えたとしてもIPv6方式に対応したWi-Fiルーターでなければ使えないことも覚えておいてください。
④:セット割を適用できるか
これはプロバイダというよりは回線業者選びで重要なポイントです。回線事業者によっては、同じグループのスマホを利用しているとセット割が適用されることがあります。
例えば、auひかりであればauのスマホ、ソフトバンク光であればソフトバンクのスマホを利用していれば1台からでも適用されるのです。割引額は事業者や契約しているプランによって大きく変わってきます。
光回線事業者のセット割
キャリア(スマホ) | 対応回線事業者 | サービス名 | 割引額(1台あたり) |
---|---|---|---|
au | auひかり So-net光 BIGLOBE光 コミュファ光 など |
auスマートバリュー | 最大1,100円 |
docomo | ドコモ光 | ドコモ光セット割 | 最大1,100円 |
Softbank | ソフトバンク光 NURO光 |
おうち割光セット | 最大1,100円 |
OCNモバイル | OCN光 | OCN光モバイル割 | 220円 |
BIGLOBEモバイル | BIGLOBE光 | 光SIMセット割 | 最大330円 |
ワイモバイル | ソフトバンク光 | おうち割光セット(A) | 最大550円 |
ほとんどの業者が、離れて暮らす家族も割引の対象となるセット割となっています。
⑤:【重要】お得なキャンペーンを実施しているか
プロバイダでは新規入会キャンペーンを実施しており、プロバイダを選ぶ際には重要視してほしい点でもあります。
まずは、何と言っても「キャッシュバックキャンペーン」です。プロバイダ選択の大きな指標になると言えます。やはり50,000円近くキャッシュバックされる可能性があるのは大きいです。しかし、注意点もあります。
特典を受け取るために条件が設定されていることがほとんどです。「〇ヶ月以上の継続利用」、「オプションの加入」などがありますので、契約する前に確認してトラブルにならないようにしておきましょう。
⑥:Wi-Fi機能がついたルーターは無料レンタルできるか
昔であれば、家の中に無線WiFiを飛ばすために家電量販店で無線ルーターを購入して、設置しなければいけませんでした。しかし、最近はプロバイダから無線Wi-Fiの機能がついたルーターを無料でレンタルできます。
レンタルできるルーターは市販で売っているものよりも性能が遥かに高く、余計な出費も抑えられるため、プロバイダ選びの重要な要素です。プロバイダによっては無料ではなく有償である場合もあるため、あらかじめ確認しておくといいでしょう。
自宅でインターネット回線を繋げるには何が必要なのか
最後に、自宅でインターネット回線を繋げるために必要なものと手続きについて簡単に解説していきます。
- 回線事業者
- プロバイダ
- Wi-Fiルーターやモデムなどの接続機器
- 接続するデバイス(パソコンやスマホなど)
基本的にこれらがあればインターネットに繋げることができます。自分で用意する可能性があるのは「Wi-Fiルーター」と「デバイス」くらいですので、初期費用もそこまで高くなることはありません。
インターネットが繋がるまでの簡単な流れ
- 回線事業者を決める
- プロバイダを決める
- 申し込みを行って工事が必要な場合は工事日を決める
- 工事日に立ち合いのもと工事を行う
- モデムやWi-Fiルーターとデバイスを接続する
- デバイス側の接続設定をすれば完了
簡単な流れとしてはこのようになります。とくに難しいところはありませんが、回線事業者とプロバイダの選択は安易に決めず検討することが重要です。工事日は申し込みから1ヶ月前後で設定できることが多く、土日祝でも可能ですが追加料金が請求されることもあります。
工事と各機器の接続は業者の方がやってくれますが、Wi-Fiルーターやデバイス側の接続設定は自分でやる必要があります。心配な人は、訪問サポートなどのサービスを利用してみましょう。
どの回線事業者にするのか迷っている人は、「光回線のおすすめランキング!光回線27社を徹底比較!」の方で詳しく解説・紹介をしています。最初に決める最も重要な部分ですので、ぜひ参考にしてみてください。